ブログ担当:伏見直紘
夏も後半に差し掛かり、残暑厳しい今日この頃。高温多湿でジメジメした日が多い季節であります。部屋の中の壁に『カビ』が発生してお困りのご家庭からご相談も頂きます。
今回は画像を交えて『カビ』と『湿気』のお話をしたいと思います。カビの画像は決して綺麗なものではありませんので、カビを見たくない方、お食事中の方は閲覧をお避け下さい。
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↑この画像は某賃貸物件の入居者退去後の写真です。びっしりと黒いカビが発生しています。
カビが生える条件として、空間の高温多湿、壁などの含水率が高くなるとカビが発生しやすくなり、ほとんどの『物』がカビの栄養源となってしまいます。上の写真の様に家具裏は湿気がこもり易い為、家具の形状の様に黒くなっています。家の中の壁や家具などにカビが生える原因をいくつか例を挙げて解説します。
①壁内の断熱材不足や不良
壁の中には断熱材が入っており、"室内を過ごしやすい温度に保つため" "外と室内の温度差で発生する結露を防ぐ" などの目的があります。材質は様々ですが、発泡スチロールを想像していただけると分かりやすいと思います。断熱材の厚みや量や施工が適切でないと壁内に室内との温度差が生じ、壁の中や表面に結露が生じます。
結露の水分を壁材が吸収し含水率が高くなり壁紙などの表面にカビが出ます。また、結露の水分がグラスウールなど綿状断熱材に付着すると断熱材が水分を吸水しカビが発生、断熱材自体もカビだらけになり効果を失います。この場合の問題点は建物の壁自体にある為、改善するには工事が必要になることが有ります。現在、建築基準法上で断熱構造の規定はありませんが、断熱材の敷き込みなどの断熱構造は『絶対的な常識』として理解されており、住宅金融支援機構のフラット35にも断熱構造の規定があります。法的な規定が無い為、竣工の古いマンションや戸建住居では、物件に合った断熱材が適切に施工されていない物件もあります。
↑マンションで断熱材不良により、壁内にカビが発生した実例。見えない壁の中が真っ黒に。
※2020年に住宅の省エネ基準の義務化が施行、断熱構造が法制化される予定です。
②家具などの配置
箪笥の裏にカビが発生したり、ベットを置いている隣接した壁などがカビてしまう場合は家具の配置を変えてみましょう。その部分に湿気がこもっていることが原因の場合があります。壁にピッタリ着けないで少し離したり、カビ取り剤を設置したり、これで少なからず改善される事でしょう。
↑洗濯機の裏側に浴室がある場合もカビが発生しやすい条件と言えます。冬場は浴室と洗面所の温度差が結露を発生させます。
③窓回り
現在の住宅の窓は断熱性能が付加されたペアガラスが使用されていますが、概ね築年数20年前後(若しくはそれ以前)に竣工した住宅は断熱層が無い単板ガラスを使用している事が多く、窓も結露を起こします。窓のサッシ自体も結露して窓枠などを傷めたりします。窓の結露を拭きとったりする事も有効な対策ですが、こまめな拭き取り作業が続くため大変なのも現実です。
そこで断熱性を持った『内窓』の設置で改善が期待できます。比較的安価で各メーカーが出しており、LIXILのインプラス、YKKAPのプラマードUなど。外気との温度差を『内窓』でシャットアウト、結露と湿気を抑制する効果が期待でき、エアコンや冷暖房器具の運転効率を良くして省エネに。更には遮音や紫外線透過率を抑える製品もあります。
また、窓のガラス自体が2層構造になったガラスも出ております。こちらは内窓とは異なり、ガラスが2層構造になっていて既存の窓のガラスのみを入れ替えるだけでペアガラスになるという製品、日本板硝子のスペーシアです。内窓の取り付けが難しい条件、内窓の見栄えが内装と合わない住居におススメです。
↑窓に内窓を設置、一面に断熱材を施工。この物件では窓廻りの結露や部屋自体のカビ臭、湿度の低下で肌寒さが無くなり、お客様が驚く程のはっきりとした効果が出ました。
④漏水
カビの発生は漏水が原因という事も考えられます。過去に担当した現場の実例として、、、
・エアコンの下の壁だけカビが生えるというご相談で原因を調べてみると、エアコンのドレン(排水)ホースが壁内で外れていて壁の中がびしょびしょになっていたケース。
・マンションで天井の一部だけカビが生えている、原因を調べるために天井を開けてみると浴室の換気扇のダクトが外れていてダクト内部に付着した水が漏れていたケース。
ご家庭で対策できるものと、建物の構造上の原因で対策できないもの、原因が分らないもの、お客様での判断が難しい場合もあるかと思います。
↑私はこの現場に1時間程度いましたが、鼻の奥がチクチク痛くなりました。
カビは見た目の除去は出来ても原因が解決されなければいつまでも発生し、更には喘息やアレルギーの原因にもなります。カビの原因となる結露の発生しやすい季節は室内と外の温度差が高くなる『夏』と『冬』、湿度が高くジメジメとした『梅雨時』です。快適な住生活を送れるよう、しっかりと対策を行いましょう。